お勉強の回 ~税理士へのいばら道~ 第106回:決算整理(11ー7)
税理士資格取得にむけた、簿記3級のお勉強記録。
106回目の本日は【決算整理】の25回目。
前回に引き続き「有形固定資産の減価償却」を振り返ります。
④期中に取得した場合の減価償却費の計算
期首に取得した有形固定資産については1年分の減価償却費を計上しますが、期中に
取得した有形固定資産については、1年分の減価償却費を月割計算し、使った月数の
分だけ減価償却費を計上します。
期中取得の有形固定資産の減価償却費
=1年分の減価償却費×気中に使用した月数/12ヶ月
例)決算において、当期の12月1日に購入した建物(取得原価10,000円、残存価額は
取得原価の10%、耐用年数30年)について定額法により減価償却を行う際の、当
期の減価償却費を求める。なお、決算日は3月31日である。
④ー1:残存価額を求める
10,000円×10%=1,000円
④ー2:1年分の減価償却費を求める
(10,000円-1,000円)÷30年=300円
④ー3:当期分の減価償却費を求める
300円×4ヶ月/12ヶ月=100円
⑤減価償却費の記帳方法
減価償却費の記帳方法(仕訳の仕方)には「直接法」と「間接法」がありますが、3
級の出題範囲は間接法のみとなります。
間接法とは、減価償却費(費用)を借方で計上し、貸方を減価償却累計額で処理する
方法です。減価償却累計額は資産のマイナスを表す勘定科目で、有形固定資産の名称
を付け「建物減価償却累計額」や「備品減価償却累計額」とすることもあります。
例)決算において、前期首に購入した建物(取得原価10,000円、残存価額は取得原価
の10%、耐用年数30年)について定額法により減価償却を行う。なお、記帳方法
は間接法である。
⑤ー1:残存価額と減価償却費を求める
残存価額:10,000円×10%=1,000円
減価償却費:(10,000円-1,000円)÷30年=300円
⑤ー2:仕訳をする
仕訳 : (減価償却費) 300 (減価償却累計額) 300
⑤ー3:精算表に記帳する
精算表 .
勘 定 | 試 算 表 | 修正 記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | .
科 目 | 借方|貸方 | 借方|貸方 | 借方|貸方 | 借方|貸方 | .
建 物 | 10000|ーーー|ーーー|ーーー|---|--→ | 10000| | .
建物減価償
却累 計額| | 300|ーーー|→+300|ーーー|ーーー|ーーー| → 600| .
減価償却費| | | 300|ーーー| → 300| | | | .
⑥月次決算を行っている場合の年次決算の処理
通常、決算は1事業年度(1年)に1回行いますが、毎月の経営成績や財政状態を明ら
かにするため、毎月決算をすることもあります。1事業年度に1回行う決算を年次決
算、毎月行う決算を月次決算といいます。
月次決算においては、1年間の減価償却費を見積もり、それを12ヶ月で割った金額を
毎月計上します。そして年次決算において、1年間の適正な減価償却費を計算し、月
次決算で計上していた減価償却費の合計額との差額を年次決算において計上します。
例)A社は月次決算を行っており、建物の減価償却費については年間見積額300円を
12ヶ月で割った金額を毎月の決算で計上している。当月の減価償却費を計上し、
間接法で記帳する。
(1)年間見積額から月額見積額を算出する
300円÷12カ月=25円
(2)仕訳をする
仕訳 : (減価償却費) 25 (建物減価償却累計額) 25
(3)精算表に記入する
精算表の記入
精算表 .
勘 定 | 試 算 表 | 修正 記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | .
科 目 | 借方|貸方 | 借方|貸方 | 借方|貸方 | 借方|貸方 | .
減価償却費| 275|ーーー|→+25|ーーー|ー→300| | | | .
建物減価償
却累 計額| | 575|ーーー|→+25|ーーー|ーーー|ーーー|ー→600| .
ということで、本日はここまで。
次回は「有形固定資産の売却」について振り返ります。
ご一読を頂きまして、有り難うございました。
ご縁がございましたら、どうぞまたお越し下さいませ。